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​月例会と夏期セミナー

久留米大学病院 総合診療棟 4F 共同カンファレンス室にて毎月1回第3日曜日(※変動する場合があります)に月例会を行っております。所属される先生方との症例報告と古典研究を中心に学術と資質の向上を図ります

(​現在は毎月一回オンラインでセミナーを行っています。)

8月には毎年夏期セミナー(旧名:夏期大学)を開催し、様々な分野の特別講師からの講義やシンポジウム、症例発表などを行い共に専門家としての学術を研鑚しております。同時に学会誌「氣血の探究」を発刊し年間の成果としております。

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月例会報告(敬称略)

     

      令和4年度 オンライン月例会          

       令和4年4月21日  (症例報告) 山田 文 「未妊治療の一症例」 

                現代医学的な治療を受けずに鍼灸治療で妊娠に至った症例を報告した。

                鍼灸治療ができるだけ患者の負担なく自然に近い形での妊娠の助けになると

                感じた症例であった。

    令和4年5月18日  (症例報告) 山田竹弘 「慢性肩関節痛の症例」 

                 高齢であり、薬も多く服用されており、一見治りにくいと思われた慢性肩関節の痛みが

                 可動域は変化が見られないものの、一回の施術で痛みが取れた症例。

                 1回の治療で再診がない場合、治療の効果があまりなかったのかなと不安になるが、

                 半分くらいは1回の治療で改善されている場合もあるのではないかと考えられる。

                                

    令和4年6月23日  (症例報告) 安徳信二 「右下肢大腿神経痛の症例」 

                 脊柱管狭窄症、腰椎側弯の既往があり6年前にボルトを固定する手術をされて、調子よく

                 お過ごしだったところ、引っ越しで腰を痛め、腰かけると激しい痛みが出て、病院での治療も

                 効果がなかったため受診された患者の症例。

                 安徳先生ならではの面白い視点からのユニークな治療がとても興味深くこれからの治療の

                 多様な可能性も期待できる報告だった。

                 鍼灸治療は このようなもの というような固定観念をはずしてもっと自由に捉えてみてもよい

                 のかも知れない。

                

         令和4年7月21日  (症例報告) 長内礼子 「2型糖尿病の寛解とぶり返しの症例」 

                 ご自身の患者としての症例報告。長きにわたり、生活や環境の変化も同時に紹介され         

                 判りやすく、良導絡のチャートを見ながら、発表された。

                 生活習慣病の代表格である糖尿病について、その生活習慣が「静かなる自殺行為」と

                 表現されていたことが印象深い。。

                 臨床において大いなるヒントを与えていただいたと思う。

                 医食同源 食のはなしやセルフケアの話は快適に生きる根本であると改めて考えさせる。

                

         

     令和4年9月15日  (症例報告) 山崎浩一郎 「熱中症に対する太極治療の症例」 

                 もともと虚弱体質の患者さんに起きた熱中症に対する太極治療の症例を丁寧に、解説

                 いただきまた活発な質疑応答を行った。特に頭(脳)は熱に弱いのでこのような酷暑 

                 の季節は特に気をつけたい。保冷剤などで首の後ろを冷やすのは効果的であるというお話も

                 あった。身体を柔らかく、行動はゆっくりをこころがけるようアドバイスすること。身体の緊張が

                 ほどけて”空”(くう)になることで本来のエネルギーが生産され、流れが出てくる。

                 シンプルだが奥の深い太極治療の一症例であった。       

                 

 

           令和4年10月12日  (特別講義) 宇都宮咲子先生 「腰痛患者に対するアプローチ 他」 

                 オンライン月例会で初の試みとして実技を見せながらの講義をゲストスピーカーとして

                 お招きした宇都宮咲子先生にお願いした。ライブではなく会員の反応が見られない中での

                 講義でしたが、新しい学び方の一つの方法になったと思います。

                 急性腰痛でベッドからの起き上がりで痛みが出るなどの症状の時、どのように介助しながら

                 単坐位になったもらうか、そこからどのように患者に負担なく立ち上がってもらうかなど

                 臨床ですぐに役立つようなコツを指導したいただいた。また腰痛患者に対する代表的な

                 腰痛体操についても効果的な声掛けや患者自身が気付いて継続していけるようなポイントを  

                 わかりやすく丁寧に紹介していただいた。

                  (医療情報)  下川 貞行 「鍼灸関係 「小説」の紹介」

                 読書の秋到来 とのことで鍼灸関係の小説を数点紹介していただきました。

                 鍼師 藤枝梅安の話は有名ですが、それ以外にも書かれています。

                 ゆっくり読んでみたいものです。

 

                 山崎先生より、お孫さんとみた映画「ミニオンズ」に鍼師が登場していた驚いた。

                 面白かったので皆さんも是非とおすすめされました。

   

      令和4年11月24日  (症例報告) 下川貞行 「コロナ禍における”うつ傾向”の一症例」 

                 ご自身の闘病生活も落ち着きを取り戻され、氣血研究会に元気に戻ってこられました。

                 会長の下川先生による症例報告でした。本来ならば昨年の5月に発表予定だった症例を

                 報告されました。3年前に始まったこの新型コロナウィルス感染症の感染拡大によりさまざまな

                 弊害、とくに身体に関する症状も多数出てきた中で、精神的な抑圧による気分の落ち込みなど

                 表面化しない症状に悩まされた方がいると思われます。その中でも緊急事態宣言がでた時期は

                 活発に人との交流を行っていた人ほど影響が大きかったのではないかと思います。そこで

                 この鍼灸治療が功を奏した一症例でした。

                 下川先生の元気なお声での報告を伺って、安心しました。

​                 また今回は水俣の児玉先生が参加されました。今後も参加予定とのことでうれしく思います。

             令和4年12月15日  (症例報告) 安徳信二 「変性脊椎側弯症  鍉鍼を用いたアプローチ」 

                 手作りの銅製の鍉鍼を用いた安徳ワールド全開の報告でした。

                 毎回安徳先生の唯一無二のユニークな治療法に会員も楽しみにしていたのですが

                 さすが我々の期待を裏切らない症例報告でした。石を使った治療も大変興味深かったです。

                    (医療情報) 下川貞行 「解明すすむ「第3の痛み」」

                    2022年2月22日(火) 毎日新聞朝刊より

                  従来の1.傷や炎症による痛み

                      2.傷ついたり圧迫されたりした神経の障害による痛み

                  1,2,にあてはまらない痛み。脳の神経回路の変化が関係していることが判ってきた。

                  新たに加わった分類 3.痛覚変調性疼痛 についての解説でした。

                  この第3の疼痛についてわれわれ鍼灸師がどう対応できるかについても

                  さらに会員の皆様の意見を伺いたいところです。

             

​                  

             令和5年01月26日  (症例報告) 山田喜平 「突発性難聴後の一症例」 

                 難聴の鍼灸治療はなかなかスッキリといかないことの方が多いと思われます。

                 特に高齢の患者の症状であればなおさらであろうと思います。

                 耳(聴覚)への直接的な刺激になりうるヘッドフォンの問題などにも言及し、

                 広範囲に考えさせられる症例報告でした。

                

                    (医療情報) 山田 文 「コロナ騒ぎで医学の無力さ」を思い知る」

                                    帯津医師 「西洋医学の限界」を説く

                    2022年11月01日(火) 

                  ホリスティック医学においての人間の三つの要素

                   1.体(BODY)

                   2.心(MIND)

                   3.命(SPIRIT)

                  命とは生命力の根源のようなもの考えている

                  この3番目の命についてのケアがあまりにも薄いとの意見であった。

                  

                  人間としての尊厳を保ち続けるのをサポートする医療についても考えさせられる

                  貴重な意見でした。

                  

                    (医療情報) 山田 文 「サッカー日本代表「PK3本失敗」は起こるべくして起こった      

                                    フィジカルトレーナーがみた敗因」

                     日刊ゲンダイ DIGITAL より

                     

                    フィジカルトレーナーの平山昌弘氏の分析から

                    その敗因が上半身の硬さに現われていたとのこと

                    上半身に力みがあると、蹴る前の先行動作が上半身に顕著にでる。

                    クロアチアのGKに蹴る方向を読まれていたのではないか。

                    力みのない上半身と下半身の重心がポイントである。

     

                    という身体的な確信をついた記事でした。

                    武道にもつうじる上虚下実を意識させる報告でした。

                    

              令和5年02月15日  (症例報告 )あかり鍼灸院 堀 朱里 「顔面神経麻痺の症例」 

                 新型コロナウィルス感染後の顔面神経麻痺に対する鍼灸治療の報告でした。

                 ストレスが多い仕事で働き盛りの40代半ばの方の症例で、少ない治療回数にも

                 かかわらず、部分的には改善がみられ、全身症状が良くなり治療を継続されています。

                 治療中に熟睡されること自体がこの患者さんにリラックスできる状態にしているので

                 効果があるとのコメントがありました。

                 身体によくない嗜好品を控えていただきたいことをお伝えする難しさについても

                 様々な意見を交わしました。

                 以前は治療効果が高いとのことで顔面神経麻痺に対してのパルス療法が使い方によっては

                 病的共同運動を誘発する恐れもあるとのことで、以前の認識と変わっているとのことでした。

                 一方で病的共同運動のある顔面神経麻痺に対してのパルスを用いた治療が効果があった

                 との報告もあり、タイミングや刺激量などで効果に違いがあるようだとの指摘もありました。

                 

                 顔面神経麻痺はどうしても隠せない顔面に症状がでるので、人から見られるストレスと

                 早く治してほしいという焦りも加わり、心身両面からのアプローチが大切で、患者の伴走者と

                 して一緒にかかわることが求められていると思わせられました。

                令和5年03月15日  (症例報告 )下川鍼灸院 下川 貞行 「コロナ感染後遺症の一症例」 

                 新型コロナウィルス感染後の不眠、頻尿、落ち着きがない、汗をかかないなどの後遺症に対する

                 鍼灸治療の報告でした。

                 たった2回の施術で症状の改善が見られた症例です。

                 少ない刺激量で、ご専門のの小児鍼も加わて患者との信頼が厚い施術の結果だと思われました。

 

                     (医療情報) 下川 貞行 「コロナ後遺症に似た自律神経障害」

                              2022年11月30日 (水) 毎日新聞 朝刊記事より

                 

                 新型コロナウィルス感染後におこる後遺症を症状が似ているとされている自律神経の病気がある

                 ウィルス感染を契機にこの病気を発症する。厚生労働省の研究班も発足した。

                 「自己免疫性自律神経障害 AAG」 免疫の異常によって自律神経が攻撃される自己免疫の病気

                 健康人にみられない病原性の「自己抗体」が自律神経の働きを乱すと考えられるが診断基準や

                 治療法は確立していない。ステロイドの対症療法で改善する人もいるが、一概に効くとは言えない

                 状況なので治療法の模索は続いている。自律神経障害は体の機能の多方面にわたり影響を

                 及ぼすのでまさにコロナウィルス感染症は自己免疫性自律神経障害と似通った症状が

                 理解できる。複合的な免疫治療が推奨されているようだ。

                 東洋医学的な考察では、上気道感染から始まることで五行説からも金克木で肝が傷つき、

                 金生水で腎にも影響を及ぼす。木生火で心へも関係している。さらに火生土と五行すべてに

                 悪l循環をもたらすと想定できる。このような症状にはまさに鍼灸の良さを発揮できるものだと

                 思われる。

 

                 「鍼灸の強みを信じて、今後増えるであろうこのような症状を訴える患者さんの治療に

                 備えておこう」と会員の先生方の意見がまとまりました。

                 3月25日 午後6時より 役員会を開催。

                 

                  

                 令和5年04月19日  (症例報告 ) 田山鍼灸院 山田 竹弘 「急性腰痛の症例」 

                 数年前に経験した自身の症例の紹介だった。

                 自分自身が鍼灸師の場合もちろん自身で治療もできるが、制限がある。特に痛みがある場合

                 痛みの発現部位への治療が困難な場合もあるが、そこは遠隔治療を使うこともできる。

                 家族に鍼灸師がいる場合は家族に治療してもらうこともある。

                 この症例は家族に鍼灸師があり、反応を見ながら様々な治療を試していき、どのような経過を

                 たどりながら改善していったかを報告された。

                 痛みがありながらどうしても仕事などで無理をせざるを得ない場合、どのように治療を継続して

                 いくか?痛みの状態に合わせて、どういった施術が一番適応するかなど興味深い症例

​                 であったと思う。

                 

         令和5年05月21日  (症例報告 ) 山崎針療院 山崎浩一郎 「パニック障害に対する鍼灸太極治療」 

                 コロナ禍下、新型コロナウィルス感染ののち後遺症が長引き、不眠から全身の凝りを発症し

                 病院での服薬治療を行うも改善が見られず、鍼灸院を受診された方の症例であった。

                 心身の自然療病力を活性する沢田流太極治療で症状の改善が見られた。

                 健康の土台を作る太極療法で人間がもつ本来の病に対する力を発揮する。

                 西洋医学とは異なった視点から人間を診る医学として鍼灸を感じた症例であった。

                 『ツボ』を診るプロとしての我われの役割がこれからさらに重要になる時代になるのではないか

                 治療を続けていくうちに身体のみでなくこころも柔らかくなっていく 

                  柔らかいこと=健康で強いこと と老子76章でも記述されている

                

                 『102歳 一人暮らし』 石井哲代著 中国新聞社

                 から哲代ばあちゃんの心身の錆びない生き方としての語録をの紹介いただく

                今回は約3年ぶりの対面とオンラインのハイブリット月例会であったが

                やはり顔をつきあわせてのライブ感あふれる研究会の楽しさを再認識した。

​                是非会員のみなさまとまたライブでお会いしたいとおもいます。

     

          令和5年06月21日  (症例報告 ) はりきゅう和亀 佐々木将人 「若年性パーキンソン病の一症例」 

 

                 「パーキンソン病」と診断されても、症状は多岐にわたり個人差の大きな難病である。

                 診断が下ればそれに対応する薬が処方されるがこの患者さんは本人がその副作用に

                 苦しみ、薬物治療による限界を感じられていたように感じられた。

                 なぜその病にいたったか。それまでの生活の中にその原因がある場合もある。

                 一口に「健康」といってもその状態はさまざまな定義がなされると思うが、

                 「自分の能力を最大限発揮できる状態」をいうのではないかと佐々木氏はいう。

                 基本的なことはとてもシンプルである。頭ではわかっていてなかなか

                 日々の生活に追われて余裕のある時間を過ごせないこと

                 などの積み重ね徐々に心身を蝕み壊していく。そこに気づいていただく立場の私たちに 

                 治療以外にもできることがあるのかもしれない。

                 自身の深い考察も興味深く考えさせられた症例であった。

          令和5年07月19日  (症例報告 ) 敬天堂 児玉満広 「精神科通院中の症例」 

 

                 当初患者さんからは精神科に通院中とのことを伝えられないまま

                 肩背部痛が主訴で来院された。当時は1か月毎日のように治療に来られていたが

                 それからは来院されていなかった。・・・・・が5年後突然来院され・・・・

                  通常の治療をしていても想定外のことは起こる。その時落ち着いて何ができるのか?

                 何が欠けていたものはなかったか?を改めて考えさせられた貴重な報告でした。

                 

                 施術者側でできる対策に加えて外側に向けての対策も必要であるとのアドバイスも

                 あった。安全安心な環境づくりも必要性を感じるものがあった。

​                 

          令和5年09月20日  (症例報告 ) 下川鍼灸院 下川貞行 「コロナワクチン接種が原因と思われる症例」 

 

                 男子中学生と老齢の男性の二症例の報告だった。

                 中学生の症例については、もう一つの副反応を言われている

                 「解離性神経症状反応」と呼ばれるこれまでの神経の病気では説明のつかない症状が

                 現われている。思春期の体調不良については、複雑な原因や思春期特有の不安定な状態も

                 あいまって、病の本質が見えづらいものがある。

                 しかし鍼灸施術によりある程度症状に改善がみられたものの、家族が回復を焦ることで

                 さまざまな治療を受け、余計に症状を複雑化してしまう。

                 会員からは親御さんの治療も必要なのではないかとの指摘もあった。

                 本人が希望して施術を受ける場合と家族のすすめで受ける場合の違いや難しさなどが検討された。

                 次の症例については筋肉注射を受けてからの、外転、外分回し時の動作時痛が残ったケース。

                 時間を空けて数回施術されているが三角筋部の夜中引っ張られるようなチリチリとした痛みが

                 残っているとのこと。

                 因果関係は明確でないものの、症状が出てくるきっかけになっていると思われる

​                 細部にわたる深みのある考察に加え、SF映画「猿の惑星」を引用されたお話も興味深かった。

 

             次回は10月11日(水) 20時スタート

          オンライン月例会になります。

         

​          症例報告は山田竹弘先生の担当です。

            ご興味のある方は事前に事務局へ連絡ください。

    

                 

     

​       

     

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